カシャライアメシスト
カシャライ鉱山とはブラジルロンドニア州にある鉱山で、ブラジルのアメシスト鉱山としては比較的新しい鉱山です。1999年に濃色のアメシストが発見されて以来有名になりました。
カシャライ鉱山産のアメシストの見た目の特徴としては、先ず、色が濃色で大変美しい。そして、カラーゾーニング(色帯)が非常にシャープであることが挙げられます。後者は宝石の品質的には・・・という感じですが、カシャライ産の特徴といえます。
これだけでは特に気にならないアメシストなのですが、実はこのアメシスト、昨今ネット市場ではとても有名な別名が付いています。それは『カラーチェンジアメシスト』という名称です。
この名称についてはいろいろな意見があるようです。事実、自然光や蛍光灯などの白色光の下では綺麗な青紫色、ペンライトやスポットライトの様な暖色系の光の下では赤紫色になりますから、商品名としてとてもいい名称だと思うのですが、鑑別機関ではその様に判断されることはないようです。残念です。。。。
この様にカシャライ産アメシストは一般の方の目を楽しませてくれるのですが、その裏で、鑑別機関を少々困らせる一面があります。
それは3534cm-1の吸収です。この吸収特性はこのアメシストが発見されるまでは合成アメシストの特徴とされていました。つまり、このアメシストの発見によって、『3534cm-1の吸収特性があれば合成!』という今までの考え方が覆りました。これは当時の天然、合成の判断を難しくしたという意味で大きな事件でした。
この様にいろいろと特性を持ったカシャライ産アメシストですが、宝石としての見どころは何と言っても色です。
色の濃さには好みがありますが、濃いながらも鮮やかさのある紫色のものが高品質とされています。また、濃いものの方が色の変化が分かりやすい傾向にあるようです。
また、色帯や色溜まりの多いのもこの石の特徴です。色乗りが石全体に均一であるに越したことはないですが、少々の色の濃淡をその石の個性だと感じて頂ければとても幸いです。
逆に、シャープな色帯によってバイカラーになっているものなどはそれはそれで別の楽しみ方があるかも知れません。
その他としては、当たり前ですがインクルージョンの無いものが理想です。なぜなら、カラーチェンジということで光を当てて楽しむような石は光を当てる事によって通常隠れて見えないものまで見えてしまうからです。
この様に、鑑別による名称がどうであれ、インクルージョンが無く、高品質でかつ、バイオレットからパープルピンクに変化するような石はとても楽しめる石だと思います。