ホーステールインクルージョン
「ホーステールインクルージョン」とは直訳すると「馬の尻尾状内包物」となりますが、もちろん本当に「馬の尻尾」が入っているわけではありません。
その正体は「クリソタイル」といい、蛇紋石族(サーペンチン族)というグループに属する繊維状の鉱物です。
つまり結晶インクルージョン(固体インクルージョン)の一種です。
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「ホーステールインクルージョン」は褐色系の細い糸のようなインクルージョンで、長いものや短いもの、比較的まっすぐなものからうねったものまで長さや数量など様々な形態で存在しています。
中でも無数のインクルージョンが中心から放射状に広がるように伸びているものは「馬のしっぽ」に似た形をしており、このインクルージョンの名前の由来となりました。
また、このインクルージョンは宝石学上ではデマントイドガーネットにのみ存在するとされており、鑑別における拡大検査でその存在を確認することはデマントイドガーネットと特定するための大きな手掛かりとなっています。
宝石ルースにおいて殆どの場合、インクルージョンは好まれません。ルースの透明度が落ち、美しさを損ねることと、インクルージョンの入ったルースの方が圧倒的に多い為、稀少性に欠けるということがその理由として挙げられます。
ところが、この「ホーステールインクルージョン」は比較的歓迎される数少ないインクルージョンの一つです。
特に綺麗な放射状に広がったものは、コレクターの間では逆に高値で取引されることもあるようです。