モルガナイト
鑑別書に「モルガナイト」と表記されるには次の二つの条件が必要です。
①鉱物名が「べリル」であること。
②ピンク色であること。
この二つの条件を満たせば「モルガナイト」です。
~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ *~ * ~ * ~ * ~
①を調べるには鑑別機関にお願いする必要がありますが、②に関しては鑑別機関でも(もちろんプロの眼ではありますが)肉眼で判断しています。
つまり、特別な機器を使い成分などを調べたりせず、人の眼で決めます。
次に、どんなピンク色か?という点についてです。
モルガナイトの色の範囲はオレンジ色が噛んだ(「含んだ」の意)「サーモンピンク色(オレンジピンク色)」から「桜ピンク色」。稀に紫系のピンク色まであります。
以上が色相の範囲で、これに色の濃淡の範囲が加わります。
ここで注意すべき点は「サーモンピンク色」と「淡い色」です。
まず「淡い色」についてですが、元来モルガナイトは色味の濃いものはなく、淡いものが一般的でした。従って、かなり淡いものでも「モルガナイト」と判断されます。
しかし、あまりに淡すぎるものは無色とみなされる可能性があります。この場合、宝石名は「ゴッシェナイト」となってしまいます。
判断の難しいものは鑑別機関に出された方が確実です。
次に「サーモンピンク色」についてです。
近年、アフリカのモザンビークから「サーモンピンク色」のべリルが産出されました。
このべリルの色の範囲は「桃色」~「オレンジ色」~「茶色」です。
茶色はもちろん、オレンジ色も簡単に判断できますが、問題は桃色とオレンジ色の中間に位置する「サーモンピンク色」です。
これもやはり微妙な色のものは鑑別機関にお願いした方がよいと思います。
因みに、経験から言いますと、結構オレンジ色が入っていても少しでもピンク色の方が強く感じたものは大抵「モルガナイト」と判断されました。
~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~
ここで鑑別に出した場合の鑑別表記についてふれてみたいと思います。
鑑別機関にお願いして石の名前を知るには次の二つの方法があります。
ひとつはソーティングメモ、もう一つは鑑別書です。
◇◆◇鑑別表記について◇◆◇
◆ソーティングメモの場合: 天然べリル / モルガナイト
◆鑑別書の場合: (鉱物名)天然べリル / (宝石名)モルガナイト
となります。(モルガナイトと判断されなかった場合は宝石名も「べリル」となります。
いずれの場合も特に色の濃いもの(色の淡いものには付きません)には「現時点では色の起源は判定不能」といったコメントが付く場合があります。
これは放射線照射処理によって色味を濃くされている可能性を考慮した為です。